雲の中の少数民族(雲南省金平県の旅 最終回)

2018年6月6日。

昆明は寝るだけと豪語していた今回の旅は、正に行き帰りとも寝るだけの昆明となってしまった。
昨晩は、大汗かきながらホテルに飛び込み、とりあえず飯とビールと思って外出したものの、入ったラーメン屋は回教徒の蘭州牛肉麺店であったため、アルコールは一切なし。完璧な選択ミスとなったが、それでもうまかったし、体はすでに酒を受け付けてはいなかったので、これでよかったのかも。

フライトは早朝便のため、翌早朝はタクシーで空港まで行こうとしたが、白タクが客集めしていたため白タクに変更。こういった中国、僕は好きだなぁ。現実優先で世の中を動かしている。悪い面ばかりではない。



フライトは上海経由だ。乗り換え後は日本人が多くなり、僕の席にも同世代の男性が座る。お隣りはビールを僕のシートに思いっきりこぼし、騒ぎを起こしたにも関わらず、小さくすみませんと言っただけで周囲への気づかいもなにもなし。このあたりから僕と周囲のズレが生じはじめた。むむむっ。

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羽田到着後、翌日東京業務が待っているために都内で1泊。外国人旅行者感覚で、日本国内で初めてドミに泊ることにする。

すると・・チェックインの際に室内で騒がないようにという旨の誓約書を書かされる。
「う~ん。さすが日本だ。」深夜まで話し声が聞こえたら、たまったもんじゃないからな。

そう思い大部屋に入ると、滞在者のほとんどがすでに就寝中。えっ、だってまだ7時だぜ。目を疑ったが、しかし僕の隣のサラリーマン風の男性も、カーテンをしめたままだ。これでは話し声どころか、物音もたてられない。手前にいたオランダの大男が、妙にしょんぼりしてる。

その夜は用事があり一旦外出し、10時頃にまた帰ってきたが、状況はまったく同じで、部屋は暗いわ会話はないわで逆に怖い思いをしてしまった。それはラウンジも同様で、ヘッドホンの女やスマホゲームに打ち込むメガネ。いったいどうなってしまったのだ?

もしかしたら・・おかしいのは僕の方で、ドミというのは周囲に迷惑をかけてはいけなく、常に静かにしていないといけないのかもしれない。ホテル側も外国人がうるさいと、すぐレビューでめちゃくちゃ言われるから、それだけは避けたいし、楽しいよりは何もない方がいいのかもしれない。それならドミじゃなくカプセルだと思うのだ。不思議とカプセルの孤独感は嫌ではない。

まぁいい。そのうち慣れるさ。

あと1か月もしたら、僕も同じように思うかもしれない。

-END-

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今回のこの旅はこれで終わりである。
タイトルに「雲の中の少数民族」としたのにはいくつか理由がある。

それは雲南省金平県が、正しく雲のイメージの、やさしく包んでくれるような感覚の世界であったということと、ここに暮らす少数民族さんたちが、いわゆる中華文化とは違い、別の独自の文化を築き上げていた喩えでもある。

また、雲というのは雨にもなり、晴れにもなる、非常に微妙な状態でもある。この先の民族文化の行く末も気になるところであり、それと重ねてこのようなタイトルにした。

それにしても・・滞在自体はたった4日半で、このような長いブログが書けたのは、この地方の魅力がたくさんあり過ぎたことに尽きる。しかもたくさんの現地の人たちにお世話になった。僕的には、このお世話をしてくれた人たちへの感謝の気持ちもあり、思いっきり書かせてもらうことにした。

ただし一般社会人としては、やりすぎた。今後はブログをちょっとお休みして、また次の旅の充電期間とさせていただきたい。


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神に選ばれし棚田・元陽 / 雲の中の少数民族(雲南省金平県の旅㉑)



2018年6月5日。
翌朝は6時30分にはホテルを出た。すでに僕の旅はロスタイムに突入しており、本来であれば朝から昆明行きのバスに乗らねばいけないはずなのである。

昆明までは8時間。夕方について宿を探し、最後の食事と足裏マッサージでも受けていれば、自然と寝る時間となるだろう。
しかし考えてみれば、今の僕には昆明なんてそれくらいしかない町なのである。それより元陽で粘れるだけ粘って、昆明には夜着いていればかまわない。そう思うと、宿のベッドでウダウダしてはいられなくなった。

急いでバスターミナルに行き、小新街行きのバスに飛び乗る。当てもなく移動し、気に入った場所で降りればいいのだ。そんなカッコいい事をやるつもりでいたが、あいにく乗ったバスはスクールバスだったみたいで、乗客全員が高校生のようであった。

それでもここの運転手や学生諸君は、そんな意味不明な不審者をありがたく無視し続けてくれ、何事もなかったように僕は下車した。

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棚田がきれいな場所で降りたのだが、そこは多衣樹という地名で、それなら聞いたことがある有名な場所だ。さっそくその先の普高老集落を訪問すると、そこはもうハニ族の伝統家屋が立ち並んでおり、昔にタイムスリップしたような感覚であった。
文献で読んではいたが、ここ元陽は観光村化が進んでおり、ハニ族の伝統家屋であるマッシュルーム型の家と茅葺き屋根が復活されていた。

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テーマパーク化されてしまうとたまらんが、改築は上手に進んでおり、種明かしさえしなければ、簡単に昔の家だと信じてしまうだろう。それくらい調和がとれていたのは、主役であるハニ族の動きと豚がその理由である。

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どーゆーことかと申し上げると、テーマパーク化してしまうと、住んでいる人間までもが金魚鉢の金魚というか、見られているのが前提での暮らしとなってしまいかねない。ところがゲストハウスは看板を出しながらも景観を損ねてはいなかったし、住民に至っては英語もおろか北京語だって怪しいのだ。ついでに観光客は大きなカメラをぶら下げた漢族が数人と、西洋人1名のみ。

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おそらく、観光村としての行政指導はあるものの、収入や物流に関してはまだまだ昔のままなのではないだろうか?ハニの住民は相変わらず藍染めの麻布を纏っているし、各家庭の庭先には豚がブーブー鳴いていたのがその証明だ。観光収入があれば、豚なんか飼わないだろう。ほら、養豚場だってあるぞ。

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僕はその養豚場の柵の中に入り、ハニの婆さんたちと少々交流を図った。婆さんたちは僕を温かく歓迎してくれたが、掃除中にお邪魔したためか、お陰で靴は糞まみれになってしまった。仕方ない。

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そうそう、そもそも僕は棚田を見にきたのだ。村の先には棚田があり、しばらく散策してみることにする。それにしても大きい。大きすぎる。ここに至るまでの山々にはこんなに大きな棚田はなかったが、よく考えてみると、これまでの銅厂だの老集寨といった山々はもっと急斜面ではなかったのではなかろうか。

棚田を作るにあたっては、山の斜面を平地化していく必要がある。もちろんそれだけで棚田は成立しないとは思うが、その斜面が元陽の場合、棚田作りに適していた傾斜だったのではなかろうか? 逆にこれまで僕が訪れた山々では、その棚田実現が難しかったのかもしれない。

仮説が正しければ、この元陽の棚田、正しく神に選ばれし棚田と言えよう。

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旅もすでにロスタイムだ。早急な結論は自爆の一歩だと思われるため、これくらいにしておく。

僕は豚小屋で汚したスニーカーを、共同の水場で洗い清め、Uターンして乗り合いタクシーに飛び乗った。
新街まで一気に走り、ホテルの部屋に帰る。荷物を10分でまとめ、急いで盆飯の食事を摂った。その時の米はパサパサであったが、なぜか異常にうまかった。ぶっかけのオカズとうまく絡むし、噛めば噛むほど味が広がるのだ。おそらくこれが、棚田米だろう。信じられないくらいのうまさに、またひとつ去る者としての後悔がつまれた。

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その後の行動は簡単に説明する。
12時30分発の昆明行バスは、ダラダラと各駅で走り、8時間後の20時30分昆明南バスターミナルに到着。
昆明駅まで地下鉄で移動し、駅周辺で安宿を探す作戦であった。昆明駅周辺には無数の安宿が並び、飛び込みでも問題ないだろう。

しかし中国の旅というのはそんなに甘くない。そのような安宿は外国人宿泊の許可が現在は下りていないらしく、ことごとく宿泊不可となってしまったのだ。時間はどんどん過ぎていき、ようやくミドルクラスのホテルで落ち着いた。

でもでもでも、まだ先がある。今度は外国人に不慣れなせいか、ビザがないとはどういうことだと揉めることになってしまった。日本人は2週間以内ならビザなしでOKだということは、口で言っても証明ができないため、いろいろ手を変えてようやくチェックインが可能となった。ふ~う。

★☆ 旅のデータ ☆★

●元陽のホテル 50元

●昆明の安宿は外国人宿泊不可が多い。予約サイトに載っているホテルを予め調べておいたほうがいい。

●参考文献 佛教大学 文学部論集 第96号 「中国雲南省元陽県棚田地域における観光開発と地元民の対応」 孫潔

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民族に乾杯 そして心地よい敗北感 / 雲の中の少数民族(雲南省金平県の旅⑳)

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2018年6月4日。
老集寨に別れを告げた後、ハニ族夫婦が操るダンプカーはゆっくりと老モンに到着。ここで元陽行きの乗り合いタクシーに乗り換えるのだが、運よく10分後に乗り合いタクシーは出発。何事もなく元陽の新街には夕方の5時に到着した。

この元陽、ご存知の通り棚田が有名だ。すでに世界遺産登録されているため、これまでの金平だの銅厂だの老集寨だのと言った、ダサくて聞いたことのない土地名を連呼されるより、はるかに聞こえがいいかもしれない。

しかし世界遺産と言えば、そりゃぁもう観光地となる訳で、そうするとそれなりのゲストハウスが並んでいたり、観光客がウヨウヨいるものだと思い込んでいた。僕的にはそうなると旅も終わりに近づいたというか、観光地では観光地らしく、おいしい物でも食べて寝よと思っていたのだが、新街の町はそれと真逆で、うれしいくらいに古い中国らしさが残っており、汚くって最高だった。
もちろん観光客もゼロ。ホテルも外国人向きでないところもありがたい。

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あっという間に夕暮れを迎えてしまい、ここでも遅い時間になると、食堂探しもたいへんそうだ。というか、バタバタっと閉まってしまい、残されたのは閉店間際の盆飯屋のみとなる。いわゆるぶっかけ飯なので、喰ったら終わり。しかし連日連夜の飲酒がたたり、僕の胃袋は疲労の限界に達している、しかも数日前は38℃の熱を出し、医者に診てもらうまでに至っていたのだ。ここは無理をせず、おとなしく盆飯でも食って帰ろう。そう思い喰いはじめる。

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閉店間際なので、各テーブル上には椅子が置かれ、掃除体勢がとられていた。僕は相席となり、向かいの席では男3人が酒を飲みながらの会話が続いている。するとその流れでおかずと麺を勧められてしまった。麺はうまかったが、おかずというのはカボチャの煮物で、それをおもむろに飯の中にぶち込まれてしまったものだから、ドンブリの中はぐちゃぐちゃになってしまった。下の画像だ。

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これは、ひどい。トマト卵の炒めとも混ざり、ドロドロ状態である。あっけにとられていると、向かって右の漢族の男が乾杯しましょうと声をかけてきた。

「いやいや、僕は具合が悪いんで・・ちょっと無理です」というと、その彼はなんと医者だそうだ。左端が医者仲間のハニ族の男性で、真ん中の猫ひろしみたいだった男はタイ族であり、この店の老板である。結局、医者のオレがいいと言うんだからという、見事な説得力に負け、乾杯へと事が運んだ。

「カンパーイ」漢族の男が音頭をとり、4民族が声を合わせた。



「いや、あなたは具合が悪いんですよね。では、喝一点儿(少しだけ飲む)にしましょう。乾杯は杯を飲み干すとなります。乾杯してしまったら、盃の酒は全部飲まないといけないんですよ。」

漢族の男が医者らしく僕の体を気遣ってくれたが、それなら酒は飲まない方がいいのではないかとも思われた。

結局、ハニに注がれ、画像からでは読みとれないかもしれないが猫ひろしみたいなタイにも注がれ、忠告を忘れた漢族にも注がれた。明日の晩は昆明で、さすがに昆明では乾杯はないだろう。
そう思うと僕は心の中で、「旅に乾杯」と祝ってみた。するとこれまでの盃を交わした相手を思い出される。最初の乾杯は確か那発(ナーファ)初日の晩で、ハニ族一家だったはずだ。酒が胃袋に沁みる。心にも沁みる。。

思い出さずにはいられない。当初僕の旅の目的は、「少数民族の伝統や昔の暮らしを見る」であったはずだ。

しかし最初の訪問地、那発(ナーファ)の定期市では、国境を越えてやって来る沙ヤオ族の女たちに圧倒された。

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ミャオ族の村では老人がなにもないボロ家で暮らしており、とても衝撃的であったが、考えてみればそれは伝統的であると同時に現実的な暮らしでもあった。金平では藍染めのハニ族に出会い、不思議な糯米の醸造酒も見つけた反面、都市部と変わらない衣料やスマホショップが客を集めていた。伝統的であると同時に現代的でもあり、そのアンバランスさがあるからこそ生活が成り立つ。バランスと保つというのは、相互に比重がかかるからそこ保たれるのだ。それは日本で暮らす我々と同じと言えよう。

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その後次々と巻き起こる不思議旅は、酒あり泥アリ出会いありで、行く先々で歓待を受けたのはこれまでのブログで書いたとおりである。しかしその中央にいたのは僕ではなく、当の少数民族たちではなかったのか?

思えば思うほど、「乾杯」と連呼しても、今回のこの旅、どの場面を切り取ってみても、「完敗」であったのではないか?

これはなんと説明すればいいんだろう・・心地よい敗北感とでも言うべきか。まさかこんな旅になるとは、まったく予想できなかったという敗北感である。

では今回のこの旅、正にその敗北感に乾杯であり、乾杯は完敗のための乾杯となったと言ってしまおう。

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杯は重なり、いくら「喝一点儿」と言っても限界がある。そろそろ帰らないといけないはずなのだが、考えてみれば、4民族も集まって酒を飲むのは今回が初めてである。しかもこの3人は元々の知り合いなのだ。旅は終わりに近づき、そろそろまとめをしなくてはいけなくなってきたのだが、新街のここで、また新しい発見ができてしまった、そんな嬉しい夜である。

「帰りたくないな・・」子供じみてはいるが、明日の朝ここを出るのを、ちょっと待ったをかけてみたくなった。

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「ハニ族の田植え一座」 ドジョウすくいの舞 / 雲の中の少数民族(雲南省金平県の旅⑲)



2018年6月4日。

ダンプは一路、老集寨へと向かう。このまま帰るのが順当といったところであったが、棚田を発見してしまい、どうしても寄りたくなってしまった。

棚田と言えば元陽が有名だ。この先元陽にも寄ってみたいと思っていたので、棚田は元陽のためにとっておいてもよかったのだが、今ここで見えている棚田は正に田植えの最中である。棚田は広大で、めったに人の姿を目にすることができないため、ここは無理してでも見学する必要があるだろう。

ダンプ姉ちゃんとはここでお別れだと思ったが、姉ちゃんは「ワタシも見たいから」と言って、ダンプを放置し、棚田の方まで歩いて下りるようだ。

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そこで気づいた。棚田というのはいろんなテレビ番組やブログでも紹介されているので、なんとなくわかったような気になっていたが、実際来てみると、まずは集落から異常に遠いということである。棚田近くの道までならバイクで通うこともできるが、水牛は歩かせるしかないし、道路から棚田まではこうして僕が歩いているように、山道を下らなくてはならない。

今回のこの棚田は、道路から先は茶畑となっており、その茶畑の向こうが棚田だ。まずはその茶畑がかなり急で、茶木に摑まらないと尻もちをつきそうである。それほどの急斜面なのだ。これにはびっくりした。

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ようやく棚田に到着。そこからはあぜ道を歩いていく訳だが、あぜ道はあみだくじ状になっており、まっすぐ最短で下ることもできない。しかもバランスを崩せばボチャンするので、ゆっくりと必死に歩くことになる。カメラのファインダーを覗きながらなんていうことはありえない。

そうして田植えしている集団の近くまで到着。集団はどうやらハニ族で、ダンプ姉ちゃんの知り合いらしい。やはり素晴らしいネットワークだ。

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あぜ道は更に行く手を遮る。田植えしたばかりのあぜ道は、水分をたくさん含んでいるため、人の重さで沈んでいく。粘りっ気も相当なものだ、そのため僕が歩くこと、ズブズブッと微妙に沈み、怖くて歩けない。しかも沈みすぎるとあぜ道が崩壊するので、それはやってはいけない。裸足になるのがいちばんであるが、諸事情からそのようなこともできないため、立ち往生ばかりとなってしまった。

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棚田には機械は入れない。よって歴史図鑑のように牛で耕し、腰を曲げて稲を植える。すべてが手作業である。

それにしてもリーダー格の男の威勢がすごい。常に荒い声をあげ、水牛を前に前進させる。水牛の力というのも、この水田の中に入ると更に気づくことがある。水牛にとっては水田はけっこう深く土の粘りも相当な物だ。全身を使わないと前には進まない。僕はこのリーダーの男の勇ましさと、水牛の前進する姿に圧倒された。

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水牛と男が水田を耕した後は、女と若い男の出番。総出でドジョウすくいをやるのだ。
泥が攪拌され、ドジョウが眠りから覚ましたところを狙う。その姿は、正にドジョウすくいそのもの。ドジョウすくいなんだからドジョウすくいの動きであるのは当たり前と言えば当たり前だが、本当に同じなのでびっくりした。しかもド派手な衣装でドジョウすくいをやるので、この一連の動きは、演出あっての芸団員によるステージを観ているかのようだ。「ハニ族の田植え一座」とでもしておこう。

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一座のドジョウすくいが終わると田植えだ。この田植えは男がたったひとりで行っており、地道にコツコツとひたすら稲を植えていた。舞台で言えばクライマックス。ドジョウすくいは大勢であったのに対し、本番の田植えはたった1名。なんともバランス悪そうであるが、ソロでの熱演と言い換えれば、まぁ問題ないだろう。

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そろそろ時間だ。僕は老集寨で荷物を拾い、なにかの交通手段で老モンまで下り、そこからミニバスを捉まえて元陽まで今日中に移動しなくてはならない。そうしないとあさって早朝の帰国便に間に合わないのだ。ダンプ姉ちゃんもそろそろ仕事に復帰だろうから、我々は老集寨を目指した。すると、まぁ昼飯でも喰っていけとなる。世話してくれた彼女に、アウトドア用のレインウエア(ほぼ新品)をお礼にさしだす。ちょっと大き目だが、現金は受け取らないだろう。

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そうして一緒に米線を喰い、電話が鳴った。麻雀の依頼だ。すると彼女は仕事ではなく麻雀を選択。
「ごめんねー、老モンまで乗せていこうかと思ったんだけど、麻雀の誘いが入っちゃったんで、代わりに運転手仲間に言っておくから、しばらく待ってて。必ず迎えに来るから。」 そう言い残して去っていった。

あっけないお別れだったが、名残惜しそうに時間をかけてさようならを言うのは好きではない。
麻雀優先でダンプからさっさと降ろされるというのも、悪くないだろう。

暇つぶしにアイスを食べようと思い雑貨店に入ると、そこの店主は昨日一緒に飲んだ仲間のひとりであった。アイスまでおごってもらい、「いったいどこまで世話になりっぱなしなんだい」 といった感じで迎えのダンプに飛び乗り、老集寨を後にした。

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もうひとつの茶民族/ 雲の中の少数民族(雲南省金平県の旅⑱)

2018年6月4日。
ダンプはゆっくりと坂を下る。どこにいくのだろう。中には何を積んでいるのだろうか?
と思いながら助手席に座り、姉ちゃんの運転をゆっくり見させてもらう。それにしても車幅は狭すぎだ。おそらく、ダンプが通れればそれでヨシといった設計でこの道路は作られたのではないかと思えるほど、ダンプ幅均一でくねくねと下り坂は続いた。



ダンプ姉ちゃんはタバコに火をつけ、僕にも吸えと促した。僕は喫煙をしないが、ここは場の空気を優先し、火をつけた。中国で吸うタバコはやっぱりうまい。

ダンプは羅盤(ルンパーン)の村を抜け、茶畑を通り大竹柵村へと向う。
「ここだよ。ここに学校を作るのさ。」

どうやらダンプ姉ちゃんは、学校づくりのための資材を運んでいたようだ。どうするのか見学すると、かなりぎこちなくダンプをUターンさせ、現場監督みたいな男の指示で、中に積んでいたレンガをガラガラっと落とした。雲南のこんな奥地にも、このようにして学校作りが行われている。当たり前のようであるが、やはりその現場を目にすれば、自然と感動がおこるものだ。中国の建築現場といえば、どことなく殺伐としたイメージを受けなくもないが、実際は現地の人間が見よう見まねでダンプを操り、周囲にないような鉄骨の建物を創りだす。しかもダンプを操るのは若い女性だ。

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次に何があるのだろう。ルンパーンまで帰るか、いっそのこと老集寨まで乗っけていってもらおうか。この姉ちゃんにはどこまでお願いしていいのだろう。心配はしていないが、時間的な余裕がないと、旅行者というのはどうしても考えることが単純になる。

方や姉ちゃんはそんな事なぞまったく考えていないようで、外国人旅行者を脇に乗せ、ちょっと得意そうだ。帰り道の途中、雑貨屋の前でダンプを止め、大声で店の女たちと会話をはじめた。すると1元札2枚を窓から放り投げ、拾った店の女が紅河のタバコを僕に渡す。すごい。やることが違う。

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ダンプの後ろにはバイクが数台立ち往生してしまっていたが、ダンプが進まないとどうにもならない。ダンプには逆らえないのか、その間、バイクどもはじっと待っているしかなかった。

ダンプはオレオレオーラを出しながらも先ほどの茶畑の横を曲がった。するとまったく殺風景な鉄筋3階建てがポツンと立っていた。飯場かなにかで休憩でもしに行くのだろうか?それともここが監禁場所か?あまりに殺伐としていたので写真には撮らなかったが、後ろをついていき中を確認すると、そこは更にびっくりする光景が広がっていた。

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なんと、製茶工場であったのである。

工場はどうなっていたのかを説明したい。それは、摘んだ茶葉がお茶となるまでのすべてがわかりやすく、図鑑にでも載せれるような、そんなビジュアル化されたような作業がハニの女の手で行われていたのである。これなら僕でもわかる(かもしれない。)更に説明しよう。

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いちばん上の画象は摘んできた茶葉である。これをベルトコンベアーに乗せ、外にある蒸し器で蒸し、発酵を止める。
その後下の画像にあるように、かなり大雑把であるが、室内にブロアーで吹き出される。

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床に溜まった茶葉を大胆にもスコップですくい、

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揉んだ茶葉をエレベーターで屋上に上げる。

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屋上では男がひとり待ち構えており、天日干しする。なお、屋上は雨に備えて透明なビニールで囲われていた。

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作られているのは緑茶だ。お土産だよと言われ、3品持ち帰って帰国後飲んだが、そのどれもがおいしい。なんというか、日本の緑茶っぽくなく、その中の1品は武夷山の岩茶に形・味とも似ている。岩茶は烏龍茶であるが、僕的にはここの緑茶が烏龍茶のような味に見える。なぜだかは、いいだろう。素人の見解だ。

また、昨年ミャンマーのシャン州でお茶の旅をしたが、その時飲んだラペ・チャウの味にもそっくりだ。
ただしそのラペ・チャウはすべて飲みつくしてしまったため、帰国後の飲み比べができない。ちょっと歯がゆいのだが、それでも雲南とミャンマーのシャン州は国境線でつながっている。距離にして400キロくらいだ。中国とミャンマーという文化的な違いはあるが、同じよう味になるのも偶然ではないだろう。

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日本の緑茶との違いは、日本食には日本の緑茶が合うのと同じように、中華料理に合う緑茶とでもいうべきか、龍井茶とも違う、苦くてまろやかな相矛盾する2つの味覚があるような、そんな野性味のある緑茶である。

いずれにしても、雲南のお茶と言えばやはりプ―アール茶ではあるが、やはりそれは思い込みである。確かに一理はあるが、雲南人がプ―アールを飲んでいないことは容易に想像できる訳だし、旅は、そんな思い込みやステレオタイプの情報から一気に解放してくれる、自分だけの発見かもしれない。

しかもハニ族とアール―族の茶畑というのもおもしろい組み合わせだ。

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考えてみれば、今僕がいる雲南省金平県は照葉樹文化の発祥というか、そのど真ん中に位置する訳だし、そこの1000メートルくらいの山中であれば、茶畑が広がっているのは当たり前だ。そこの少数民族が民族衣装のまま茶摘みをしているというのも、当たり前だと言えよう。

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思い込みを、このお茶がくつがえしてくれた。しかも雲南とミャンマーと日本が、またひとつの線で結ばれたような、そんな壮大なお茶が楽しめたことは、大きい。

それにしても、、ダンプ姉ちゃんのナビセンスは素晴らしい。
旅人の求めているスポットと、現地の人が見てもらいたいスポットというのは、実はまったく違うというのが現状だが、姉ちゃんのコーディネートは正に旅人目線だ。

もっともここは観光地ではないので、何も紹介できないから製茶工場となったのかもしれないが、まぁなんでもいい。

ダンプはその後も仕事そっちのけで、この後もしばらくドライブを続けることとなった。

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Author:べぇべぇべぇ
アジア各地で仕入れをしながら旅を続けてます。

記事は市場や路地裏などを舞台にした、人間ウオッチングが中心になります。
しかも旅のスタイルはトレンドとはほど遠い、アナログ的な旅となりますので、現地の気の利いた情報が欲しい方には、まったく参考になりません。

観光ガイドにはない街歩き、永遠に繰り返されるドタバタ劇、そんなアジアの魅力に迫ります。

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